SS tes ×

他者だけが意味を持っていた。私の世界で。私に意味はない。ただただ、他者だけが意味を持っていて、それだけでもよかった。
空いたペットボトルが波を飲んで転がっている。かわいそうに、捨てられて砂にまみれて、海を汚す手助けをしている。波はアクアブルーだった。けれど、体に悪そうに塗りたくられたアクアブルーだった。その潮は浜を溶かす。溶けた浜は砂を亡くして、暗闇を呼んでいた。その上を歩いている足が真白く細い。誰の足だろう。膝から上が見えない。暗闇、だから。
膝が寒そうに赤い。なのに足取りはしっかりと、ぺたぺたと、闇を踏む。沈むことなく。ぺたぺた。ぺたぺた。遠くへ行ってしまう。ここから先、私は追いかけられない。行ってしまう。誰の足。誰の足。行ってしまう。

  


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